5Sで、ものづくり、ひとづくり、まちづくり

2014年3月15日 (土)

23.めざすは、『考動する集団』


キムラ先生
「2年間にわたり、5Sの話をしてきましたが、
今回が最後の話となりました。

会社によって異なると思いますが、
今まで5Sの目的になり得るようなものをいくつか挙げてきました。
また、同じ会社でもひとつの目的が達成されれば、
次の目的へと内容が変わります。こういう対応ができなければ、
すぐにもマンネリ化に陥ってしまいます。

いつも変化に対応し続ける5Sの目的は、
考動する集団をつくることです。
考動する集団は、常に新しいことを考え、
そのために現状把握をきっちりと行っています。

5Sの目的は、各社各様なので、自社のレベルを知り、大局に着眼し、
実際に手掛けるのは、小さなことの連続だということも理解している集団
です。

仕事は、たくさんの人との連携から生まれます。
その過程では、小さなことでも理解してもらえなければ、
結果は変わってきます。ましてや、理解されていても思うように
運ばないのも事実なのですから。

最後に一言。
たかが5S、されど5S』です。

長い間、勉強してきましたが、
少しは5Sを理解する役に立ったでしょうか。
これから、企業、家庭でこれらの内容を活かして、5S活動を進めると、
仕事も人生も、きっと今までとは違った輝きを放つようになると思います」

タカシくんコウ子ちゃん
「長い間ありがとうございました」

fig23_process2

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2014年2月15日 (土)

22.眼力・決断力・継続力を養う。そして変化を受け入れる


キムラ先生
「わたしの話も残すところ、2回となりました。

今回の話で、5Sで先生が最も重要と思っていることの再認識をして
もらえれば、と思っています。

5Sは、企業のあらゆる面に影響を及ぼすので、設定のしかたによって、
さまざまな目的・目標を立てることが可能です。

消極的な『きれいにする5S
一般的には『安全性向上』、『生産性向上
多少深くなって『在庫の削減→キャッシュフローの改善』、
社内の風通しをよくする』など

最初は、消極的な『きれいにする5S』を真剣にやるだけでも
さまざまな効果が現れます。

5Sが次から次へと新しい目的・目標に発展するツールだということを、
よく観察していれば、理解できますね。

そのためにも、まず『眼力と決断力を養う』ということを
目的・目標に据えて、スタートしてみてください。

さて、ここでもう一度、最初の『整理』を思い出してください。
さあ、どんな内容だったでしょう」

コウ子ちゃん
「要るもの、要らないものを分けて、要らないものを捨てることです」

キムラ先生
「要るものは、その重要度や頻度の順序に分けて考えることを
思い出してください。最初は、いつか使うから、とか、
思い出があるから、とか考えるのですが、それでも整理を続けてゆくと、
だんだんと、それらを断ち切れるようになってきます。
そのプロセスの中で知らず知らずのうちに眼力がつくのです。

意思をもって続けることで、少しずつ、そしてだんだんと眼力のレベルが
上がってゆきます。そして、その次は・・・」

タカシくん
「要らないものを捨てる」

キムラ先生
「捨てる決断力がつく結果になるのですね。
眼力がついて、要不要のものを分けても、それを捨ててしまわないと、
またその両者が混じってしまいます。これを繰り返しているうちに、
本当の決断力がつくと、即座に捨てられるようになります」

コウ子ちゃん
「わたしも家庭の中の整理を繰り返して、
ずいぶん捨てられるようになりました」

キムラ先生
「”継続は力なり”、ということばがあります。
しかし、このことばの1/3だけが真実です。
ひとつめは、方向性が間違っているのに継続し続ける
ふたつめは、同じことを永遠に継続し続けようとする
みっつめは、着眼大局、着手小局でコツコツと小さなことを
解決しながら、最初に決めた大目標に向かってゆく
さあ、どれが真実でしょう」

タカシくん
「当然、みっつめです」

キムラ先生
「方向が間違っていたり、同じことの限りない繰り返しは、
ムダを積み上げ、やがてはマンネリ化に陥って活動自体を放り出したり
することにつながりかねません。

社会はつねに変化しています。
とくに最近の変化の速さは、めまぐるしいものがあります。
社会が変化しているのに、企業がそのままでは、相対的にどんどん
遅れてゆくことになります。企業の継続は、社会の変化に対応できるか
否かにかかっています。

その変化を読むのに、眼力が必要になってきますし、眼力で変化を
読んだ後は、変化に対する対策の策定と決断力が不可欠です。
ものの整理で要らないものを選別したり、捨てたりすることは、
最終的にここに関わってきます。

初期の5Sは、まず小さな変化を受け入れ、それを当たり前にすることを
考えさせてくれる効果があります。

次にその効果をみて、次を判断することが必要になります。
これを繰り返してゆくと、企業はスリムになってゆき、
変化に対応することが容易になります。
確実にできることをきちんと行って、スリムにしておくことが大事です。
いつかやってくる方向転換という変化のときにきっと役立ちます。
現在までに、長い歴史を重ねてきた企業は、
当たり前のようにこの姿勢を貫いてきたのです」

fig22_process

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2014年1月30日 (木)

21.部分最適・全体最適

 

キムラ先生
「高度経済成長期は、作れば作るだけものが売れました。
その後の1980年代から高度経済成長に陰りが見え始めると、
大量生産は少量生産へと移ってゆきました。顧客の要望の多様化で
多品種生産が始まり、納期も短くなり、変種変量という大きく
時期的変動を伴う生産状況に突入しました。

従って、一人のひとが多くを判断し、社内で協力体制をとらないと、
この変化の激しい社会の流れに応じられなくなってきました。
いつも全体を見て、細部との調和を図ることは要求されます。

先の東北の震災で従来からの日本の生産システムに関し、
見えてきたことがあります。何んでしょうか?」

タカシくん
「工場を日本各地に分散してリスクを図ること」

キムラ先生
「そうです。日本の生産システムは、材料、卸、工場へと、
サプライヤチェーンが構築されて機能しています。
これが震災で途切れました。
これに対応するために、サプライヤチェーンにぶらさがる、
生産工場などの機能を、リスク回避のため各地に分散させ
始めています。

しかし、まずは、自分の企業の社内が一体となっていれば、
大きな変化にも機敏に対応できます。
企業は、時代の中でいろいろな変化にいつも遭遇します。
その変化への対応が社内一体になっていなければ、
なかなかできません。

話を絞って、現場に注目してみましょう。
現場ということばは、どこかで起こったことが、
すべて現れる場所ということです。
設計、資材、営業等、企業の各部門は、相互に深く関連しています。
現場で発生した問題をよく観察して、原因の糸を手繰り寄せると、
企業のあらゆるところに行き着きます。
ところが、ともすると、企業内では、現場は軽視されがちで、
すべての問題を背負わされながら、自分のところでは解決しきれずに
もがいている場合が多いようです。

製造業ならば、そこで作ったものが形になって、お客さまの手元に
渡ることで対価を得、その中から利益を得ることで企業が
存続するのに、その本元である現場が軽視され続けるということに
なります。
従って、そういう姿勢の企業は、当然弱くなってしまいます。
現場が弱いと強い技術力があっても、その力を表せなくなります。
逆に強い現場があれば、技術などの創造的な分野においても
具現力が高まり、両者がスパイラルアップしてさらに強くなります」

コウ子ちゃん
「現場って大切ですね」

キムラ先生
「多くの企業に見受けられるのですが、
”部分最適”、”全体最適”の教育が弱いように思えます。
成果主義は、自分だけ良ければ、ということになりがちですが、
ときには、自分を犠牲にすることも必要です。
かつての日本人はそうでした。それは、日本人の長所だったのです。

その反面、相手に遠慮して、云うべきことを云わなかったり、
ここぞというときに他人まかせにしたり、という短所があります。

これからの社会は、昔からもっている日本の良さをベースにしながら、
云うべきことは勇気をもって伝え、
変えてゆくことが必要ではないかと思います。

5Sで改善点を見つけてゆくと、次から次へと改善個所が現れてきます。
やがて、職場間をまたぐこと、どの職場の管理なのかわからない
ことなどもクローズアップしてきます。
そして、それを真剣に討議してゆくと、
職場間のコミュニケーションも生まれます。

今回は、先生の話が長くなってしまいましたが・・・
5Sは、簡単なことに真剣に取り組むことで、全体最適の環境に
つなげることができます」

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2013年12月14日 (土)

20.余計なことはしない

キムラ先生
「今までのトップの役割のときに、方向性と環境づくり、
それに予算の準備は、もっとも大事なことだと話しましたが、
今回は現場における注意点で、当たり前と考えている”余計なこと”を
たくさんやっていることについて、触れてみたいと思います。

栃木県足利市で全市を挙げて展開している”足利5S学校”における
5S活動では、以下の特長を持たせています。

1.資料は作らない。
2.チェックシートを使わない。
3.指摘でなく、ヒント。
4.減点主義は、採用しない。1パーセントでも前に進めば褒める。
5.改善前・改善後を比較しない。今の現場がすべて。
6.できない数値化を行わない。
7.期限を設定しない。
8.できることから積み重ねる。いきなり困難なものに取り組まない。
9.間違いを許す。
10.まちじゅうをあげて、オープンにする。

現場がスリムになっていれば、多くの紙(資料)は、不要となります。
眼で見てわかる職場になっていれば、
紙は邪魔者以外の何ものでもありません。
また現場には文章を書くのを苦手とするひともたくさんいます。
そのことから解放してあげると実務に集中することができます。
ましてや苦手の資料を作成するのが目的となって、
さらにそれが使われないとしたら、最悪の事態です。
先生は、そんな例をたくさん見てきました。
そこで、思い切ってやめてみました。すると、結果は良好です」

タカシくん
「でも企業において、記録というか、履歴は残しておかないと、
まずいのではありませんか?」

キムラ先生
「会社の経理データとか、ISOで保存を義務づけられているような書類は、
止むを得ませんが、第三者に説明するためだけの書類とか、
自己満足で作成する書類といったものが対象です。

5Sは、活動した結果が紙に現れるのでなく、現場で眼に見えるように
現れます。そこがすばらしいところです。
現場を見れば、一目瞭然なのに、紙の資料ではほんの一部しか
表せません。その資料から判断するとなると、
できるアクションは、その資料の範囲ということになります。
これでは、不十分な仕事しかできません。
使われない資料は、間違いなく余計なものです。
しかもひとのやる気を削ぎます。

もうひとつ余計なことがあります。わかりますか?」

コウ子ちゃん
「さっきも出てきた期限を設定しないといこと」

キムラ先生
「そうですね、それもありますが、
すべてのことを数値化しようとすることについて、話します。

日本は、QC活動で、すべてのことを数値評価すべきだという姿勢を
とってきました。これが近年の評価主義へと引き継がれます。
経理データなどは、客観的な見方をするために徹底した数値化が
必要であり、活きてきますが、
残念ながら企業活動のほとんどは数値化に適していません。
たとえば、集団で活動していることを、どのように配分して数値化する
のか、ひとのやる気などのメンタルな成果をどう数値で表すのか、
数年後の将来に効果がでてくるものなど、不可能な内容があります。
そういうムダな作業は、間違いなく企業にとって、マイナスです。
とくにひとのマインドにとっては致命的です。

企業活動においては、過去のものはあくまで過去のものにすぎません。
大事なのは、これからの改善であり、変化です。
眼の前にある現在の現場が基準であり、
将来それをどのように変えてゆくかということが重要です。

”余計なことをやらない”ということは、
5Sの一番目の”整理”の眼力にほかならず、
何が不要かを選別し、決断力によりそれを捨てる、ということです。

過去の資料、自己満足・上司のための報告書、何を表しているのか
わからない数値、第三者に見られたら恥ずかしい改善前の写真等々、
思い切って捨ててみませんか。

そして何度も繰り返して、日々の仕事の中にムダなものがないか
どうかを峻別できる姿勢を体得しましょう。
その考動が重なるたびに個人の眼力が鍛えられ、
企業が磨かれてゆきます」

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2013年11月26日 (火)

19.間違いを許せる職場づくり

キムラ先生
「前回は、”巧遅より拙速”という話でしたが、
今回はさらに一歩進めて、できないと思ったものでも、
”ダメ元”の精神で挑戦してみることをすすめます。
やってみて、不足があったり間違いがあったりしたら、
次は足したり、逆のことをやったりすれば、
成功への足掛かりとなります。
また、やってみることにより、次の一手が見えてきます。
これが5Sの醍醐味にもなります」

タカシくん
「そうです。まずは、やってみなくては・・・それが大事なんですね」

キムラ先生
「戦後の学校教育、会社教育の中で、わたしたちには減点主義の
システムが身についてきてしまっています。
上司は、さらに上司の眼を気にし、部下のミスを叩きます。
これでは、現場の人たちが委縮しないはずがありません。

間違いを許せる風土づくりができれば、
現状では考えられないほど改善が進んでゆきます。
そして、その間違いをオープンにします。
そういうことの積み重ねによって、
悪いことを隠さない職場ができます。ほとんどの場合、必死になって
間違わないように努力しているのに間違うこともあります。
また、難しいことに挑戦する場合、難しければ難しいほど間違う可能性が
高くなります。

従って、間違いを責めると難しいことには誰も挑戦しなくなり、
結果として企業力が弱くなります」

コウ子ちゃん
「間違うことは誰にでもあること。
それを防ぐ手立てを企業は講じなければならないと思います」

キムラ先生
「そうですね、フェールセーフといった考え方が大切ですね。
先の原発の問題でも、そういった対策が講じられていたはず
なのですが・・・人知を超えたフェ-ルだったのでしょうか。

ところで、ふたりはイレクターを知っていますね」

タカシくん
「4mのパイプで、自由な長さに切って、
たくさんの種類のジョイント(パイプに付ける角の黒い継手部品)で
組み立てたものです」

キムラ先生
「そうです。
これは、一度作ったものでも、さらに良くしたいという場合には、
ばらしたり、追加したり、一部をカットしたりして、
結果的にイメージしたものに作り上げてゆくことができる優れものです。
しかも使用目的が変わった時には、
ばらして使いやすいものに作り変えたり、
作業台、一人屋台、コンベアー、台車、部品シューター、工具置場、
掲示版など、ありとあらゆるものを作れます。
耐荷重も見た目よりはるかに強度があります。

しかも、簡単に装着できる台車をつけることによって、
作業場全体がフレキシブルになります。
イレクターは、間違いながらも試行錯誤できるので、
改善力を養う道具として広く使われています」

タカシくん
「一度作ったら終わりではないんですね」

キムラ先生
「先の原発事故についても、整理で、実践して・知って・磨く”眼力”や
”決断力”が他の案件に比べれば、各段に高く求められるものだと
思います。原発も5Sが効果的な対象となり、
わからないことやわかった後の眼力や決断力などは、
やはり”巧遅より拙速”であり、間違ったことはオープンにして、
表に出して正すということが、よりいっそう要求されるのではないか
と思います。

そこには究極の5Sが感じられるのですが・・・どうでしょうか」

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2013年10月31日 (木)

18.巧遅より拙速

 

キムラ先生
「キックオフも実施し、トップの方向付けと活動の環境づくりも整い、
5Sの
整理整列整頓清潔しつけ
の順序で進めることになります。

ここから、現場の腕の見せ所です。
最初は、できることはすぐにやる、という姿勢が大事です。
それが「巧遅より拙速」。
うまくて遅いよりも、多少拙くても早くやってみる。
やってみると、いろいろなことが見えてきます。
ただし、安全と品質に関することは慎重な上にも慎重に進めてください。

ところで先生が子供のころ自動車はどのくらい普及していたか、
わかりますか?」

タカシくん
「だいたい一家に一台」

キムラ先生
「わたしが小学生のころ、昭和の高度成長期でしたが、
村に一台あるかないかというくらいでした。
まして、自分が大人になり、自動車を所有するなど夢の夢。
しかし時が流れ、今はハイブリッド車に乗り、高速道路を走っています。

何十年という時の流れの中で、できないと思われることでも、
できることから確実にやって積み重ねてゆくと、
とても無理だと思っていたこともできるようになります。

整理や初期清掃は、誰にでもできます。
そして、まずできることをやっておくと、
次のステップが見えて実践が可能となります。
これが5Sのすごいところです」

コウ子ちゃん
「この、誰にでもできることを行うことが難しいんですね」

キムラ先生
「企業では、地道な人よりも、声の大きな威勢のいい人が評価される
傾向が強いようです。
成果主義の弊害も一時よりは認識されているようですが、
まだまだ心情的にはこの手の人のほうが重宝がられているように
見受けられます。
目標を掲げて”やります”と宣言する。

しかし、具体的にものごとをこなしてゆくのは、
そう簡単なことではありません。

これには、数値目標や数値評価がつきものです。
そもそも多くの現象は数値化が難しく、昨今の複雑な社会にあっては
変化が激しく、数か月前の目標さえ条件が変わってきます。
大きな目標を立てて、スパッと解決して成果をあげるというのが
望ましいですが、そうはうまく運ばない、と考えたほうが自然なようです。

とすると、今できる最高のことを繰り返してや理続けるのが
理想的ですが、最高のものとまでいかなくても、たとえ今より少しでも
よいことを常に続けられれば、間違いなく確実に前進します。

もし成果主義がすばらしい手法であったならば、
もっと違った社会になっていたはずです。
今、見直しの時期にきており、企業も模索しているようです」

タカシくん
「5Sは、当たり前のことを当たり前にやってゆく手法ですね。
できることは、手を抜かずに確実に、ということなんですね」

キムラ先生
「みなさんも理解してくれていますが、
簡単なことでもばかにしないで、ひとつひとつ確実にクリアしてゆくのが
5Sの精神です」

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2013年9月28日 (土)

17.現場力をつける

キムラ先生
「会社は、何のためあるのかということに関わりますが、
その中で事業として進められる生産活動、サービスは、
人の役に立つことを他の人に提供してゆくことです。
そのことは、もうふたりは、理解してくれていると思います」

タカシくんコウ子ちゃん
「はい」

キムラ先生
「大多数の人は、他人が起業した企業で働いているわけです。
従って、起業家以外の人は事業に対し受け身になりがちですが、
彼らには気をつけなくてはならないことがあります。
それは、いままで話してきた考動する集団になることです。
自分で考えて、自分で意思決定をして、自分で行動する・・・。
この姿勢が成熟社会の真ただ中に置かれたわたしたちに
今求められているのではないでしょうか。

さて、5S活動のキックオフを実行しても、
なかなか動き出さないケースも発生します。
そんな場合、どうしますか?」

タカシくん
「そうだな・・・各人にこれから何をしたらよいか、といった宿題をだします。
それで活動を促すとか・・・」

キムラ先生
「そうですね、そんな方法もありますね。
そんなときは、ひとりでも動き出す意欲のある人を見つけ出して、
その人にまず動き出してもらいましょう。
すると、彼はひとつの課題を解決し、ふたつめの課題を見つけ出し、
その効果を確認し、徐々に活動範囲を広げてゆきます。
そんな人をトップが応援するようにします。

まずは現場の細部を知っている社員から、火をつけるようにします。
現場の細部は、現場の人だけが知っています。
現場を経験した管理職にもなかなかわからないものです。
管理職という立場に変わった途端に、
上司から現場の時には受けなかったアウトプットを要求されるためか、
現場の声に耳を傾けなくなってしまいがちです。
または、現場の細部を理解できても、それが上司から要求される
アウトプットと違うために無視しがちになります。

5Sの目標のひとつである”見える化”はこのようなことを防止できます。
”見える化”を目指そうとするトップや管理職は、聞く耳をもっている
からこそ”見える化”が途中であってもものごとが見えるようになる
のではないでしょうか。

日本人は、とくに現場力に長けた民族だといわれます。
戦後の復興時には、この現場力が大きく貢献してきました。
そして社会の成熟化とともにさまざまな理由で、
この現場力の評価が低くなり、
現場力そのものも弱くなってしまっているように思えてなりません。
具体的に考え、磨きた判断力で決断し、
それを行動に移すことの大切さを現場だけでなく、
全社員の方ももっと深く考えてほしいと思います」

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2013年8月 4日 (日)

16.順序立てて進める

キムラ先生
「前回までで、会社のトップの役割について説明してきました。
5S活動の導入がトップの決意で決まったら、
それを意思表示し、方向性と推進のための環境が提示された時点で5S活動の取組が実際にスタートです。
しかし、以上の3点は、実践のプロセスで常に見直しと補正が必要です。

トップの役割は、着眼とも云える部分であり、
今まで着眼大局にスポットを当てて話を進めてきました。
これから、みなさんが中心となる着手のプロセスとなります。
実際に活動を開始し実践することは、眼の前の小さなことの連続です。
小さなことが積ると、塵も積もれば・・・ということで、
大きな改変につながります。そして、その一方で実践の対象は、
どんどん細かくなってゆきます」

コウ子ちゃん
「なんか話が難しそうになってきた・・・」

キムラ先生
「冒頭に込み入った話をしてしまったでしょうか・・・。
要は、5Sもプロセスを重ねて進めてゆくということです。

トップが5S活動の導入を決断したら、
まずキックオフといったセレモニーを実施し、全社員にその意思を
表示します。
ただ、突然キックオフなどと云うと、社員も戸惑うでしょうから、
事前に主だった社員には、その旨を説明しておきます。
その際に活動の全体のリーダー、各職場のリーダーも選任して
おきます。
それからキックオフです。その目的は、以下のようになります。

 1.トップの決意を知らせる。
2.5S活動の概要を説明する。
3.現場が主役であることを理解してもらう。

コウ子ちゃん
「そんなことをしなくては、ならないの?」

キムラ先生
「企業の活動の場合は、区切り区切りをきちんとすることが必要です。
なので、キックオフです。
家庭の場合は、必要ないかもしれませんが、
キックオフということでなくても、家族全員に5Sについて説明しておくことは必要かもしれませんね。

そしてスタートですが、
効果を上げるためには、実践の順序が大切です。
まずは、以下の順序で実践です。

整理 → (初期)清掃 → 整列 → 整頓 → 清潔

なぜこの順序になるか、もう二人はわかっているでしょう」

タカシくん
「ものごとには、効率のよい順序があるからです」

キムラ先生
「すべて効率ということではありませんが、以下の理由によります。

1.まず整理で要らないものを捨てます。
2.ものが動きますから、ホコリが出たり、汚れた部分が現れます。
そのために清掃をします。
3.それがひと段落したら、見苦しくないように、綺麗に並べます。
ここで整列です。

これを繰り返すと、捨てるものも、すぐ捨てられるものから、
「もしかしたら使うもの」へと対象が移ってゆき、必要なものが見えてきます。
すなわち、整理+清掃に伴って、点検清掃に移ります。
通路が確保できるまでスペースができたら、
簡単に剥がせるテープで通路線(白色がお薦め)をひいてください。
この線が工場のものを置く基準線になります。
すべてのものを基準線に直角平行に置きます。
これだけでも職場は見違えるように変わります」

タカシくん
「実際の進め方ですね。これは役に立つ話ですね」

キムラ先生
「5Sの導入順序の必要性を話してきましたが、
プロセスが進み、レベルが上がったら、
次から次へとレベルアップが必要です。
例えば、整理では、すぐ捨てられるものから、7~8段階を経て、
常に使うものに対象が移ります。

清掃も、初期清掃から点検清掃、保全清掃と細かくレベルアップしてゆきます。

整頓も露払い役の整列から、3定、そして動的な物流を考えた内容に移行します。

さらに高さ制限などで見える化が確立できれば、
フェース・トゥ・フェースで人と人とのコミュニケーションが活発になり、
物理的な5Sから、人と心の5Sに移行します。

話が長くなりましたが、今回は活動の進め方の核心の話でした」

タカシくんコウ子ちゃん
「うーん、よくわかった感じがします」

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2013年6月15日 (土)

15.トップの役割 その2

キムラ先生
「さて、今回も企業のトップの役割のお話です。
会社は、誰のためのものでしょう?」

タカシくん
「その企業に勤める社員のため・・・」

コウ子ちゃん
「地域の社会のため。といいたいのですが、難しいところですね」

キムラ先生
「そうですね、まず1番目は、働く従業員とその家族のためであり、
2番目に協力会社の方たちとその家族、さらに現在と未来の顧客、
続いて、地域住民とりわけ障害者や高齢者、
最後に株主・出資者・関係機関のためといえるでしょうか」

コウ子ちゃん
「いろいろな人たちとの関わりの中で事業をしているのは、わかります」

キムラ先生
「組織のトップには、、本当は全社員と会社に関わる全ての人の人生を
担う使命があります。その使命のもと、経営も5S活動も推進する
ために、上から”やりなさい”という号令をかけてしまいがちです。

その号令、すなわち『指摘』といった言葉が当たり前に飛び交うことに
なります。やらされる側もいやいやながら『指摘』してください、
と応えます。
ここに、”考えない”、”云われたこと以外はやらない”集団ができあがる
原因があります。

しかし、やがて『指摘』する側もネタ切れになりイライラが始まり、
それが募りモヤモヤしながら、5Sが停滞状態となってしまいます」

コウ子ちゃん
「でも現状を見て、誰かが何か云わないと始まらないのではないですか」

キムラ先生
「わたしがいままで説明してきた5S活動は、
働く人たちが自ら考え行動する5S活動です。
だから、そこでは『指摘』でなく、それは『ヒント』といえます。
『ヒント』であることを理解・納得できたら、
たとえ間違っても実行してみる、間違っても再チャレンジすることに
よって成功へと転化し、社員の成功体験となります。
すると、それまで停滞していた5S活動が復活します。

人はアメ(飴)では動きません。
ふつうは、アメ(飴)とムチ(鞭)で人を動かす、というようなことを
云いますが、アメ(飴)で動くのは、いっときです。

人のモチベーションをアップし、持続させるには、
その人自身が企業活動に参加しているという手応えをもってもらうことが
大切です。

経営のトップもそのことを理解し、
社員も云われたことを『指摘』ではなく、『ヒント』として受け取り、
挑戦してゆく姿勢を持てるかということにかかっています。

そのうえで、会社経営に埋め込む”こうなりたい”という願望と
”こうしたい”という情熱を社員に示すことが重要です」

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2013年5月27日 (月)

14.トップの役割 その1

キムラ先生
「今回は、5S活動を推進するにあたっての企業のトップの役割が
いかに不可欠で大切であるかをお話ししたいと思います。
中小企業はオーナー企業が多く、
一方大企業はサラリーマン的なトップが多いという違いを
考慮して、中小企業において導入の意思決定や
その後の進め方を配慮しなければなりません。
5S活動もトップのレベルによって、
そのレベルが決まる傾向にあるようです。
導入を開始し、実践の中で段階的にレベルアップしてゆくものだ
ということを理解し、レベルアップするタイミングの兆しを
発見できるかという眼力が必要です」

タカシくん
「レベルアップの兆し、どんなことですか?」

キムラ先生
「例えば、活動も定着し、成果もそこそこ現れてくると、
活動もマンネリになってしまいます。
または、社員が自発的に改善提案をするようになってくる等々、
さまざまな変化が現れてきます。
トップは、それを見過ごさず、次のステップへステップアップする
仕掛けを講じなければなりません。

社員が整理を進めることで、眼力や意思決定力を養い、
変化を実感し、変化に慣れ、変化に対応し、やがては変化を
自分で起こすようになってくるとしめたものです。
それを発見するトップの眼力が必要です。
それを見過ごしてしまうようですと、5S活動も廃れてしまいます」

コウ子ちゃん
「5S活動という当たり前のことを当たり前とせず、その活動の中から
次のステップの芽を探し、伸ばしてあげることが必要ですね」

キムラ先生
「そうです。そういった小さな芽を発見し、育てられることをトップが
できれば、その企業もレベルアップしたことになります。
組織の形は、トップの力で決まるのです。
5S活動の中でいえば、次のようになります。

1.導入の決定は、トップの役割
2.社員が活動しやすい環境を作る。
まずは、勤務時間中に活動時間を設定してあげてください。
3.費用も多少かかります。
しかし、ここで費用対効果の評価は行わないでください。
定量的な評価はそぐわないのです。
4.レベルアップしたら、次の中目標の設定が必要です。
仕事や事業には、大きなビジョンが必要ですが、
実践には、それをブレークダウンした中目標、小目標の設定が
不可欠です。
5.実践に入ったら、トップは口をださない。
まずは社員の自主性に任せてみてください。

これで企業風土は、きっと変わります。
トップは、企業の風土作りの活動と認識し、陰で応援してください」

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