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2015年4月28日 (火)

木枯し紋次郎 Vol.11 「背を陽に向けた房州路」

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舞台:房州路小湊
演出:土屋啓之助 共演:光川環世

「借りはつくっちゃならねえ、
つくった借りは返さなくちゃいけねえ。
渡世の掟と決めておりやす」

紋次郎は、かつて野州矢板で行き倒れになりかかっていたところを
房州出身の深雪(光川環世)という酌婦に2両の金を恵んでもらい
救ってもらったことがあった。その借りを返すために房州路を訪れ、
深雪そっくりの庄屋の娘お町にその借りを返す理由を語るセリフです。

ならず者が住み着いた村を救ってもらうために、お町とその父親は、
紋次郎に腐った丸木橋を渡らせようとし、それを救うことで借りをつくります。
紋次郎が必ず借りを返すということを知って利用したわけです。

基本的には、借りはつくらず、つくった借りは返すというのが定法です。
しかし、本作の例もありますが、ビジネス社会をうまく生きてゆくためには、借りをつくることで人間関係もつくり、深めるというノウハウもあります。
借りばかりでは、人は離れていってしまいますが、
ほどほどの借りは残しておくことも必要です。そうすることで、
その相手は優越感を覚えます。
それをビジネスに役立てるという方法があります。うまく使ってみてください。

本作品の原作は、「紋次郎」シリーズと同時期に発表していた
「小仏の新三郎」シリーズです。その主人公を紋次郎に置き換えた作品です。
小仏の新三郎は、お染(本作では深雪)の残していった簪を髪にさし、2両の借りを返すために、心臓を患っている身をおして旅を続けるという設定です。

本作で15作目となり、キャラクタも固まり、決めセリフも頻繁に登場するようになりました。有名なふたつの決めセリフが登場します。

ひとつめは、村で隠し米を保有していることを他言しないよう依頼されたとき。

「あっしには、一切関わりねえことでござんす」

ふたつめは、お町にくわえている楊枝について問われたとき。
「こいつは、ただの癖ってもんで」

特筆すべき廃寺での殺陣シーンを始めとし、
紋次郎ドラマのエッセンスがすべて詰まった作品です。

また本作のヒロインの光川環世は、紋次郎を救った深雪、お町の二役です。
テレビの時代劇に多く出演していましたが、東映のやくざ映画にも出演作品があり、梶芽衣子の「銀蝶流れ者 牝猫博奕」、安藤昇の「実録安藤組 襲撃篇」等。

百姓も小賢しく、ずる賢く生きて行かなくてはならない存在。隠し米をもっていたり、ならず者を利用したり・・・
そんな百姓に向けて、夕陽を背に、以下のセリフを云って去ってゆきます。

「あっしが黙って、ここを立ち去るのは、
あっしもまたお天道さまに背を向けた男だからでござんすよ」

最後にもう聡明な読者の方は気付かれたと思いますが、
本メルマガのタイトル「木枯し紋次郎と歩く!背を陽に向けたビジネス道」は、この作品のタイトルから転用しています。

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