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2015年3月29日 (日)

木枯し紋次郎 Vol.10 「見かえり峠の落日」

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舞台:上州路下仁田
演出:窪川健造 共演:市原悦子、曾我廼家明蝶

「時がたてば、忘れることだってできるんだから・・・」

ならず者たちに暴行を受けた妹の八重に向かって、
出戻りの姉のお初(市原悦子)が諭すことばです。
以前の連載「やくざ映画に学べ!ビジネス、そして人生」でも同じようなセリフがありました。そうです。
関の弥太っぺ」(1963年。監督 山下耕作)です。

時間というものは、不思議なもので、万能薬のような効能があります。
ずっと思いが持続してしまうようだと、人間生きていけませんから、うまくできています。

本作「見かえり峠の落日」は、「木枯し紋次郎」シリーズの原作には存在しません。著者の笹沢佐保が紋次郎に先立つ「峠」シリーズの作品、それも股旅ものを手掛けた最初の作品です。ということもあるのでしょうか、「紋次郎」シリーズの特長であるラストのどんでん返しが本作には存在しません。しかし、作品として整っていますので、原作を連載していた小説現代の第1回ゴールデン読者賞の受賞作品です。

テレビドラマと異なり、原作にはお初は登場しませんし、銃で撃たれた北風の伊三郎(「峠」シリーズの主人公の名前)は、見かえり峠へ向かう山道で息をひきとります。という具合に少々相違点があります。

さて、次のセリフは、名セリフということもないのですが、いつもの紋次郎の生き方を示すものなので、掲げておきます。

「てめえしか頼れねえ渡世ですから・・・」

人間ひとりで生まれて、ひとりで死んでゆく。だからこそ、生きている間は、ひとと交わって楽しく生きてゆきたいものです。逆説的な捉え方がよいです。

最後に、気になったのが、やはりお初のことば。

「姉は菅笠、妹は日笠」

このことばは、同じ親から産れた姉妹でも、各々の嫁ぎ先によって境遇に差がでてくることをいう慣用句です。「菅笠」は、農作業などでかぶるスゲの葉で編んだ笠で、貧乏の例え、一方「日傘」は、日傘をさせる裕福の例えです。姉は菅笠を被り働き、妹は日傘をさして遊興するようすです。ここでは、上記の説明と微妙に異なり、家族の中で姉は常にたいへんな思いをして妹たちを守って生きてゆく定めにあることを云っていると受け取りました。確かにそうかもしれません。男兄弟でも似たようなところはあると思います。

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